「華竜の宮」上田早夕里

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

 

内容

地球の変動で人類がやばい中、外交官の主人公が海の民と陸の民のため奔走する話
 

感想

素直に感想を書くと結末に触れるので抽象的に
素晴らしかった。
SFのスケールのでかさと美しさがあって、変容する社会と認識があって、その中で人類の生き様がとかもう最高じゃないですか。
というか、「『魚舟・獣舟』と共通の世界での長編で期待を裏切らない内容」とだけ書けば必要十分な気もします。
 

「カオスの紡ぐ夢の中で」 金子邦彦


 

 科学はそんな、「もの」の発見競争ではない。あ、こういう風に自然はみてとれるのかという、新しい世界観を作っていく、もっと豊かで楽しい文化活動であって、唯一の絶対的真理の発見競争などではないのだ。

 

内容

科学エッセイとSF短編
数式も無く、難解な用語連発も無く、読みやすい
 
短編あらすじ
「カオス出門」
悪魔「願いを叶えてやろう」
科学者「この世からカオス理論をなくしてくれ」
 
「進物史観」
ある科学者が物語を作るプログラムを組み、それが読者によって淘汰され
プログラムはより良い物語を書くように進化していき、
しだいに読者も影響されるようになり―

 

感想

てっきり、「よく分かるカオス理論」系かと思ったら全然違いました。
本の紹介としては、解説が最適だったので、少し引用します

金子邦彦の提示するのは、ある特定の科学ではなく、科学の方法に関してである。あるいは考え方に関してである。

金子邦彦の天才は、容易に読み勧められるものを提示しながら、それを読むことで蒙った後でも尚、新たに読みなおすことのできるものを作り出すところにある。

 
解説はなんと円城塔。著者の金子邦彦が院の指導教官で、円城塔というペンネームも
「進物史観」の小説を書くプログラムの名からとったそうです
 
それにしても、このハヤカワの<数理を愉しむ>シリーズはすごい。
興味深いとか考えさせられるとか以前に、純粋に面白い、楽しいと思える本が多い。
なるほど、名前の通り"愉しむ"かと納得。コンプを目指すか。

 

妄想

円城解説より

「さて、金子邦彦である。天才に属する」 「ここにあるのは、一人の天才科学者の〜」 「天才なので基本的に〜」 「金子邦彦の天才は〜」

天才が天才と連呼してやがる・・・どんだけ・・・

 

MMR
キバヤシ「実は円城塔は人間じゃなかったんだよ!!!コンピュータープログラムだったんだ!!!」
ナワヤ「あ、やっぱそうだったんですか」
 

 「魚舟・獣舟」 上田早夕里


魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

 

   生きているということは・・・生き残る能力があるからだ。

 

内容

「くさびらの道」
キノコ病ハザード発生。立ち入り禁止区画では幽霊が見えるとの噂が・・・
幻想でホラーでSFでバイオな30ページ
「真朱の街」
妖怪に子供を盗まれた。「探し屋」に頼みに行くことになったが・・・
妖怪で近未来でバイオでメディカルでSFで人間ドラマな40ページ
「小鳥の墓」
殺人者が少年時代を回想する書き下ろし中篇
 
他、異形コレクション収録短編中心の短編集
解説:山岸真
 

感想

久々に新刊紹介
大体の物語が、幻想的な雰囲気の中にあって基盤はSFで固めた上で、
その中での人間の動きが主軸な感じ・・・そんな盛りだくさんを、
短編で実に上手くまとめきって、大変密度の濃い作品群になってます
最後の中篇も、SFで彩られた、世界との隔絶間が素晴らしく魅せる
これだけ書ける作家を知らなかったのは全くもって不覚・・・
異形コレクションかあ・・・チェックしてみようかなあ

妄想

帯いわく、「SF史に永遠に刻まれる大傑作!」
知らない作家・・・過剰な煽りの帯・・・SFのはずがなぜか光文社・・・
たまには博打もいいよね! グッド!
結果、大勝利! ★5を進呈します

「Self-Reference Engine」 円城塔


Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

 

 そんな説を考えた奴の頭を一度かち割ってみたいものだと思う

 

内容

時空とか宇宙とかがこんがらがった中の連作短編集
 

感想

Q. どの程度わかりましたか?
A. さっぱりです
Q .わからないのに面白いのですか?
A. 面白いのです

 

妄想

なんか珍しく長くなったな・・・以下は暇な人用
 

続きを読む

「ウロボロスの波動」 林譲治


ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)

 

 だから人間の将来について、楽観も悲観もしていない。太陽が燃え尽きるまで、人類は太陽系で繁栄する。案外人類の運命とはそんなものでないかと思わなくもない。

 

内容

100年後の太陽系のハードSF連作短編集
 

感想

 落ち着いた重厚な世界観が良いです。
 太陽系に進出した、あまり階級に上下のない科学者中心の社会とか。
 そしてやっぱり対立しちゃう地球人とか。
 最初に謎があってのミステリ仕立ての物が多いです
 手がかりも揃っていて・・・本格・・・まあ解ける訳もないのですが、割と納得できたりする不思議。
 ちゃんと驚かせてくれる場所もあります。
 ただ、続きものとは知りませんでした。
 まあ本書が傑作だった以上追いかけますけどね。
 

妄想

「ほんと地球人テロとかやめろよなー
地球人ってどうせあいつらだろ、あそこらへんの国」
とか思ってたら、
『法整備が甘いからほとんどのテロリストは日本国籍
ちょwwおまwwリアルwww
 高性能AIが、人間を排除するのが、IDを消すだけというのは
緊迫した状況の中微笑ましくて良かった。AI萌え〜

恒星間無人探査機リチャード三世

名前ひどすぎワロス
 

「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ

柔かい月 (河出文庫)

柔かい月 (河出文庫)

 

では、こんなふうに話を始めよう。ひとつの細胞がある。そしてこの細胞は単細胞生物で、この単細胞生物が私である。   

 

内容

細胞やら惑星やら時間やら道路の渋滞やらの、連作短編集

 

感想

科学のような論理のような幻想で、めくるめくように綴られる物語は・・・
さっぱりわけが分かりませんでした
分からないなりに、幻想的な鳥の起源やら、恋して分裂する細胞の話などは
割と面白く読めたのですが、後半の論理中心の話は、回りくどさしか感じませんでした。
解説を読んだら、なんとなく分かった気にはなれましたが、
うーむ・・・他の作品には手を出さないかもです
 

「マイナス・ゼロ」広瀬正


 

内容

昭和のタイムトラベル
待望の復刊
 

感想

かなり期待して読んだのですが、それを裏切らない良作でした。
とても読みやすく、昭和の雰囲気も楽しく、物語もきっちり収束し、
なぜこれが絶版だったのでしょうか・・・
他にも復刊するらしいので、それらにも期待です。
 

妄想

けなす所はなにもない作品だが・・・しかし、違う・・・
なぜ近い過去にしかいかんのだ
俺が読みたいタイムトラベルは、もっと大風呂敷を広げたやつなんだ
未来世界とか、時空とか、歴史の闇とか、魔術とか・・・