「飢餓同盟」 安部公房


飢餓同盟 (新潮文庫)

飢餓同盟 (新潮文庫)

  ……書くという行為は、あらゆる人間的行為の中でもっとも人間的な行為だ

 

  絶望的滑稽革命SF純文学
 

内容

 みんなで同盟を作って田舎の町で革命を起こそうという、
 ユーモアにあふれた、閉塞的で絶望的な話です。
 

感想

 砂の女 (新潮文庫)の砂、箱男 (新潮文庫)の箱しかり、安部公房の文章は細部の書き込みが、
 有り得ない事柄に有り得ないリアリティを持たせます。
 この作品では、革命の切り札である地熱発電と、技師の織木です。
 織木は人間計器となり、電流を聴覚と同期して楽譜として記録し、
 バイオリンで弾きつつ地下構造のメロディを写し取る……
 こんな場面を圧倒的な存在感で描けるのは安部公房以外にはいないでしょう。