「カエサルを撃て」 佐藤健一 


カエサルを撃て (中公文庫)

カエサルを撃て (中公文庫)

 カエサルを生かしておくなら、ガリアに明日など来るはずがない。
 だから、撃つ。必ず撃ち果たしてみせる。

 

英雄 VS 英雄

 

内容

豪快で尊大で野卑で頭の切れる美貌の青年が、民族まとめて、禿の中年カエサルと戦う話。
 

感想

最初はこう、痛快だけど、それだけの小説かなあと思ってました。
それが、中盤以降の登場人物の内面の変化から、
全てを賭けた最後の戦いへ至る物語の収束には実に心を打たれました。
戦いの結果は無論史実で自明なわけですけれど、
そんなことはおかまいなしにぐいぐい読ませる筆力が凄い。
 

妄想

「ささ、最低の馬鹿男。あなたなんか、死ね。さっさと死んじゃえばいいんだ」

やはりオタクとしては、主人公の妻がツンデレということには触れておかねばなるまい。