「灰色のダイエットコカコーラ」佐藤友哉 


灰色のダイエットコカコーラ

灰色のダイエットコカコーラ

   「僕は特別なんだ。覇王なんだ」

 

内容

 覇王になりたいと願う、十九歳フリーターの話。
 ファウスト連載分に70ページ加筆しての単行本化
 

感想

 二年待たせただけのことはある、傑作です。
 痛さを昇華した、ある意味ターニングポイントな作品でしょうか。
 

妄想

 以下は本当に、ただの佐藤友哉信者の世迷いごとです。妄想です。

 
 最近、講談社は本当調子こいてるよね。
 マジで読者なめやがって。以下、不満点を連ねる。
 
・発売延期
 まあ、これは良くある、仕方ない。一応書いておくと、ファウスト連載が終わったのが04夏。
 今確認できる中で最初の発売予定は、05夏(ファウストvol.5 p378)。
 で、出版されたのが07年6月。
・ノベルス→ハードカバー
 まあ、別に良い。値段は倍以上になったが、内容には見合っている。
 だが、後で述べる問題点に大きく関係している(と思う)。
・消えた鬼頭莫宏のイラスト
 闘うイラストーリーはどうした。割と渾身の挿絵だったと思うのだけれど。
 つーか鬼頭莫宏、いま「ぼくらの」アニメ化でブレイク中じゃん。
 まあでも、そういう判断もありかなとは思う。
・ピラピラの透明表紙
 扱いずらいなあ。カバーしたまま読めないし、本棚にも差しにくい。
 でも、まだ許せる。
 
・ひたすら読みづらい余白、段組
 これは許せん。
 構成は二段組でページとタイトルが真ん中。で、上下余白1.2 cm(二文字分) ってどういうことよ。ページを開けばすぐに気づく。上下詰まりすぎ。なにこれ。明らかに視線がページからはみ出るだろうが。読みづらいったらない。 
 なんでこんな屑みたいな構成にしたのか。とりあえず参考までに手元にあるハードカバーで二段組を探す。「蒼穹の昴」と「屍鬼」があった。どちらも文字がぎっしりの大作だが、余白は倍はとっている。あと手持ちの本で二段組となると、縦長の早川の異色作家短編集と、ノベルス……、あれ、ひょっとして、そんな日常の謎ミステリ?
 ノベルスの段組そのままじゃねーの、これ?
 ハハハ、いやいやまさか、ねえ。だってノベルスと版型ちがうんだぜ。ありえないって。
 でも、もし縦長の本にだったら、ぴったりの構成だったと思うなあ、ははっ。
・禁則処理
 ああ、段組かえると禁則処理とか直すの面倒だもんね。
 その割りに小文字「っ」とか長音「ー」とか行頭にあるね。
 別にこれは良いのだけれど。
・かぎかっこの使い方
 おいおい、なんだよその独自ルール。
 段落頭に、なぜかかぎかっこも一文字下げる。
  「こんな感じ」
「本来こうだろ」(わかりづらくて申し訳ない)
 セリフが改行無しで連続するとき、『」 「』ではなく『」「』のようにスペースを空けない。
 「こんな」「感じで」「連続するセリフ」
 「普通は」 「開けると」 「思うけれど」
 だから読みづれーって。ファウスト掲載時は普通だったじゃねーか。
 
・犯人は?
 いまどき同人誌だってもっとましだぜ。天下の講談社がこんな基礎の基礎でどういうことよ。
 などと思いつつ、最後まで読み終えるとそこには……
 本文データ制作 KODANSHA BOX DTP TEAM
 はっはーん。あーはいはい、なるほどね。疑問氷解。
 ……読者なめんな。
 つーかファウストは編集はまともだったろ。
 太田さん、部下の教育はしっかりやってくださいよ。マジで。
 
・結論
 しかし解せないのは、新潮の対談で佐藤友哉本人が、
  「装丁も最高ですし、これは売れますよ」
 みたいな事をいっていたこと。本人が納得してるなら良い……のか?
 べつにノベルスで良かったんじゃねーの。鬼頭莫宏表紙で、帯に三島賞受賞とか書いてさ。
 そのほうが売れたんじゃない?
 あと太田は最後まで責任もてよ。