「王狼たちの戦旗」ジョージ・R・R・マーティン

王狼たちの戦旗〈1〉―氷と炎の歌〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

王狼たちの戦旗〈1〉―氷と炎の歌〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

王狼たちの戦旗〈5〉―氷と炎の歌〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

王狼たちの戦旗〈5〉―氷と炎の歌〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

   「眠りはよいものだ」かれはいった。「そして書物はもっとよい」

 

異世界ファンタジー架空歴史戦争群像劇

 

内容

全七部作「氷と炎の歌」の第二部
王様が増えたり減ったりする話
 

感想

大傑作。面白すぎて特に今更言うことはないけど、少しだけ魅力を書きます
 
その1、卓越した多視点描写
この作品では頻繁に(大体20ページくらい)で物語の視点が入れ替わります。
これが実に巧妙でして、複雑な状況の俯瞰、逆に意図的に描かれない場面の存在、
面白さの最高点での失速せずの視点切り替え等により、
長大な話の中で常に緊張感を失わないという奇跡が実現しています。
 
その2、魅力的な登場人物
語るまでもないですが、果敢な決断、不穏な策謀、愚かな過ち……
全ての人間の全ての行動があまりに眩しく輝いています。
しかも多視点なので、存分に魅力を味わうことができます。
ですが……
 
その3、登場人物の過酷な状況
エンターテイメントの基本は「主人公をピンチに追い込む」ですが、それにしたって……
魅力的な奴らばかりだって言ったのに!
主要人物が死にかける、または突然死ぬ、あるいは周囲の脇役がばたばた死んでいく……
平穏で安全な場所など七王国には全く存在しません。
登場人物に感情移入して読む人は、呼吸止まるのではないでしょうか。
 
その4、重厚な世界
あまりファンタジーには詳しくないのですが、これは世界観とかじゃなくて、世界ですよ。
完成された一つの世界。
 
その5……きりがないのでやめます。
あとはまあとにかくストーリーテリングが巧みなんですよ。
 
とにかく出会えて良かった作品でした。
補足:「七王国の玉座」の評価を4から5に変更しました。