「黒猫/モルグ街の殺人」ポー


黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

  こうして惨めな状態にどっぷり浸かり、惨めさを現実とするしかないのだから、とりあえず気休めだけでも、よしなきことを思いつくままに語らせていただこうか。

 

いろいろな元祖

 

内容

八篇の短編集
ほとんどが人を殺す話
 

感想

ほとんど古さを感じず読めました。理詰めの恐怖、というのは言い得て妙で、
ホラーに分類されるであろう作品も、怖さというよりはむしろ清々しさすら感じました
おそらく訳文による影響が大だったのではないかと思います(後述)
 

妄想

・「モルグ街の殺人」
 ネタバレ危険度S。自分は三、四回ほど目にしたような……
 でも、「ばらされる前に読め!」とかいうほどのあれでもない気がするなあ
※追記
 ネタバレで検索してくる人多すぎ。青空で読めますよ。
 長さは文庫本で50ページ分ぐらい。
 推奨しませんが、答えだけ欲しいなら上から3分の2以降を流し読み
  ・青空文庫「モルグ街の殺人事件」直リンク
   http://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/605_20934.html
  ・青空文庫ポー作品リスト
   http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person94.html#sakuhin_list_1
こんな書き方心が痛む。でも検索してるならどうせたどり着くしそれなら作品にリンクを張ったほうが・・・うーん・・・
 
・「アモンティリヤードの樽」
「BAR レモンハート」に、この短編を読んで酒を探す話があった
BARレモン・ハート (14) (双葉文庫―名作シリーズ)
 
エドガー・アラン・ポー
……27歳のときに13歳の従妹と結婚する……
ダブルスコア!
 
・訳文について
読みやすさを重視した新訳。結構合ってたと思う。
ただ、やっぱり若干軽いかなあと思う部分も。
例えば、「黒猫」の一文を例に挙げると

さて、殺してしまえば、その次の仕事がある。じっくりと死体の処理を考えた。

軽い。落ち着いている。人を殺しておいて「さて、」というのはいかがなものか。
「さて、次は何を飲もうか」とかそういうノリの「さて」だ。
比較用に、手元にあった黒猫・黄金虫 (新潮文庫) 佐々木直次郎訳の同じ箇所を引用する。

この恐ろしい殺人をやってしまうと、私はすぐに、きわめて慎重に、死体を隠す仕事に取りかかった。

さっきは無かった、恐れ、焦り、緊張、それらを内包しつつの表面上の平静? みたいなのが読み取れる気がするような。
さて、違いを挙げてはみたものの、考察はできない。
原文にあたる気はないし、ポーの作家性も知らないので、好みだけ述べる。
新訳の方が好きだ。上手く言えないが、過剰にならず落ち着いていて、ある一点に集中して、みたいな語り口が独特の味で好印象な感じ?だった。
ただ、あとがきの最後を「にゃおん」で締めるのはどうかと思った。萌えキャラ?