カオスの紡ぐ夢の中で (〈数理を愉しむ〉シリーズ) (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: 金子邦彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/30
- メディア: 文庫
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科学はそんな、「もの」の発見競争ではない。あ、こういう風に自然はみてとれるのかという、新しい世界観を作っていく、もっと豊かで楽しい文化活動であって、唯一の絶対的真理の発見競争などではないのだ。
内容
科学エッセイとSF短編
数式も無く、難解な用語連発も無く、読みやすい
短編あらすじ
「カオス出門」
悪魔「願いを叶えてやろう」
科学者「この世からカオス理論をなくしてくれ」
「進物史観」
ある科学者が物語を作るプログラムを組み、それが読者によって淘汰され
プログラムはより良い物語を書くように進化していき、
しだいに読者も影響されるようになり―
感想
てっきり、「よく分かるカオス理論」系かと思ったら全然違いました。
本の紹介としては、解説が最適だったので、少し引用します
金子邦彦の提示するのは、ある特定の科学ではなく、科学の方法に関してである。あるいは考え方に関してである。
金子邦彦の天才は、容易に読み勧められるものを提示しながら、それを読むことで蒙った後でも尚、新たに読みなおすことのできるものを作り出すところにある。
解説はなんと円城塔。著者の金子邦彦が院の指導教官で、円城塔というペンネームも
「進物史観」の小説を書くプログラムの名からとったそうです
それにしても、このハヤカワの<数理を愉しむ>シリーズはすごい。
興味深いとか考えさせられるとか以前に、純粋に面白い、楽しいと思える本が多い。
なるほど、名前の通り"愉しむ"かと納得。コンプを目指すか。