「カオスの紡ぐ夢の中で」 金子邦彦


 

 科学はそんな、「もの」の発見競争ではない。あ、こういう風に自然はみてとれるのかという、新しい世界観を作っていく、もっと豊かで楽しい文化活動であって、唯一の絶対的真理の発見競争などではないのだ。

 

内容

科学エッセイとSF短編
数式も無く、難解な用語連発も無く、読みやすい
 
短編あらすじ
「カオス出門」
悪魔「願いを叶えてやろう」
科学者「この世からカオス理論をなくしてくれ」
 
「進物史観」
ある科学者が物語を作るプログラムを組み、それが読者によって淘汰され
プログラムはより良い物語を書くように進化していき、
しだいに読者も影響されるようになり―

 

感想

てっきり、「よく分かるカオス理論」系かと思ったら全然違いました。
本の紹介としては、解説が最適だったので、少し引用します

金子邦彦の提示するのは、ある特定の科学ではなく、科学の方法に関してである。あるいは考え方に関してである。

金子邦彦の天才は、容易に読み勧められるものを提示しながら、それを読むことで蒙った後でも尚、新たに読みなおすことのできるものを作り出すところにある。

 
解説はなんと円城塔。著者の金子邦彦が院の指導教官で、円城塔というペンネームも
「進物史観」の小説を書くプログラムの名からとったそうです
 
それにしても、このハヤカワの<数理を愉しむ>シリーズはすごい。
興味深いとか考えさせられるとか以前に、純粋に面白い、楽しいと思える本が多い。
なるほど、名前の通り"愉しむ"かと納得。コンプを目指すか。

 

妄想

円城解説より

「さて、金子邦彦である。天才に属する」 「ここにあるのは、一人の天才科学者の〜」 「天才なので基本的に〜」 「金子邦彦の天才は〜」

天才が天才と連呼してやがる・・・どんだけ・・・

 

MMR
キバヤシ「実は円城塔は人間じゃなかったんだよ!!!コンピュータープログラムだったんだ!!!」
ナワヤ「あ、やっぱそうだったんですか」