昨日の日記を書いていて思ったのは、自分が小説を読む理由の一つは、
自分に近い存在を物語の中に見つけたい、というのがあるのではないかと。
というわけで、カテゴリ「ダメ人間」の新設です。
特に定義は設けませんが、感想を書いてない本で言うと
太宰治人間失格 (集英社文庫)他
西澤保彦瞬間移動死体 (講談社文庫)他
中島らも今夜、すベてのバーで (講談社文庫)他
津原泰水蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)
等々があげられます。
目指せ! ダメ人間特化書評サイト!
「喜劇悲喜劇」泡坂妻夫
- 作者: 泡坂妻夫
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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台風とうとう吹いた
内容
回文名の人物が次々殺されていく話
感想
鮮やか。
回文に彩られた堂々の美しいトリックに感嘆でした。
妄想
主人公は妻に逃げられ、酒におぼれたマジシャン。
新しい仕事と美しい助手を得てさあ再出発だ!
あれ、酒は飲むんだ……でもマジックが……あれれ……
でもこれ推理小説だし、推理が……ああ、それは別の人なんだ……
ダメ人間! ダメ人間だ! ブラボー!
現在の積読状況
三 三三 /;:"ゝ 三三 f;:二iュ 三三三 三 _ゞ::.ニ! ,..'´ ̄`ヽノン なんでこんなになるまで /.;: .:}^( <;:::::i:::::::.::: :}:} 三三放っておいたんだ! 〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__ ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ . 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド' };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll
ちょっと積読の整理でもするかと軽く思い立ったのだが……
300……あまりの犯した積みの大きさに愕然
どうすんべ
「天体の回転について」 小林泰三
天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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そんなことを言ってると、科学者になっちまうぞ!!
奇想SF短編集
内容
「天体の回転について」
少年が萌えキャラと軌道エレベータに乗る話
「灰色の車輪」
ロボット三原則とかギャグじゃね?
「時空争奪」
時空はどこからはじまってどこにいくのか?
他、全八編のSF短編集
感想
ずっとニヤニヤしながら読んでました。
海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)とはまたちがった趣になっています。
叙情が消えて滑稽になった感じでしょうか。かわいそう(笑)みたいな。
妄想
「天体の回転について」の少年は今の時代に生まれれば、科学を愛し、
初音ミクに恋していたろう……多分。
ベスト短編は「あの日」
大笑いしてしまった。
作家志望の学生と先生とのやりとりなんだが、実に腹が痛い。
「わたしはミステリ作家にむいていないんでしょうか?」
あれでミステリて。しかもこの作者が密室・殺人 (角川ホラー文庫)書いてると思うと二重に笑える
「緑は危険」 クリスチアナ・ブランド
- 作者: クリスチアナ・ブランド,中村保男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/07/01
- メディア: 文庫
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「ずいぶん細かな人だな、あのコッキー君は」
内容
病院で人が殺される話
感想
よくまとまった良作でした。
ただ、はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)と比べると若干劣りますが。
妄想
今回の死亡フラグ
「殺人なんかありはしなかったと思っているんでしょうけど、本当にあったんです。誰がどうやって殺したのか、わたしはちゃんとしっています。あした警部のところへいって、なにもかもぶちまけるつもり……彼に証拠を見せてやります・・・・・・」
(ノ∀`)アチャー
「シュレディンガーのチョコパフェ」 山本弘
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 文庫
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ああ、彼女が降臨した! 妄想ではない本物の彼女が
正統派SFヨタ話
内容
七編のSF短編集
・シュレディンガーのチョコパフェ
流行のオタク女との恋愛+世界崩壊系SF
・奥歯のスイッチを入れろ
漫画やアニメでよくある高速移動を厳密に考察してみた
・バイオシップハンター
異星文化交流
・メデューサの呪文
言葉ってすごくね?
・まだ見ぬ冬の悲しみも
過去に戻るとこういうこともあるかもね
・七パーセントのテンムー
脳のはたらきからあることが分かったが……
・闇からの衝動
怪奇小説っていいよね、あと触手いいよね
感想
実にSFらしいSFです。新しい理論を使いながらも、話の作り自体はいわば「古き良き」構成で、
安心して読むことができました。「神は沈黙せず」も傑作でしたので、どうも山本弘の評価を、
「トンデモの人」から「SF作家」に改めなければならないようです。
まあ、しいて難点をあげるとすればあれでしょうかね、なんというか……
「ふ〜ん、じゃあ動力は何よ? 小型核融合炉? はっ、テラワロスwwwww」
的なねえ、細かく書いてあるがゆえに、他の箇所にまで突っ込まずにはいられないというか
そんな嫌な読者になってしまうことことでしょうか……
妄想
・奥歯のスイッチを入れろ
よく「消えた!」「後ろだ!」なんてあるけどあれを実際に科学的に考察してみましょう
という話なんだけど、あれだよね。
このノリでテニスの王子様とか考察してほしいよね。
一瞬、ラケットの先端に光を屈折する透明なバリヤーのようなものが生じたのが見えた。衝撃波が発生したのだ。打ち返したボールは音速に達した。衝撃とともに飛び出したボールの反動で、僕の体は後ろに押される。力の方向はほぼ正確に僕の重心と一致していた。体にはゆるいスピンがかかったものの、これくらいなら制御できる。
みたいなやつが読みたい
・七パーセントのテンムー
文庫で追加となった短編だが、これはひどい。
話の通じない人間(要するにあいつらである)を全部まとめて障害者扱いするという大技。最高だぜ!
どうでもいいが元ネタのユーザーイリュージョン―意識という幻想はバキにもでてきたよね
関連記事
「黒猫/モルグ街の殺人」ポー
- 作者: ポー,小川高義
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/10/12
- メディア: 文庫
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こうして惨めな状態にどっぷり浸かり、惨めさを現実とするしかないのだから、とりあえず気休めだけでも、よしなきことを思いつくままに語らせていただこうか。
いろいろな元祖
内容
八篇の短編集
ほとんどが人を殺す話
感想
ほとんど古さを感じず読めました。理詰めの恐怖、というのは言い得て妙で、
ホラーに分類されるであろう作品も、怖さというよりはむしろ清々しさすら感じました
おそらく訳文による影響が大だったのではないかと思います(後述)
妄想
・「モルグ街の殺人」
ネタバレ危険度S。自分は三、四回ほど目にしたような……
でも、「ばらされる前に読め!」とかいうほどのあれでもない気がするなあ
※追記
ネタバレで検索してくる人多すぎ。青空で読めますよ。
長さは文庫本で50ページ分ぐらい。
推奨しませんが、答えだけ欲しいなら上から3分の2以降を流し読み
・青空文庫「モルグ街の殺人事件」直リンク
http://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/605_20934.html
・青空文庫ポー作品リスト
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person94.html#sakuhin_list_1
こんな書き方心が痛む。でも検索してるならどうせたどり着くしそれなら作品にリンクを張ったほうが・・・うーん・・・
・「アモンティリヤードの樽」
「BAR レモンハート」に、この短編を読んで酒を探す話があった
BARレモン・ハート (14) (双葉文庫―名作シリーズ)
・エドガー・アラン・ポー
……27歳のときに13歳の従妹と結婚する……
ダブルスコア!
・訳文について
読みやすさを重視した新訳。結構合ってたと思う。
ただ、やっぱり若干軽いかなあと思う部分も。
例えば、「黒猫」の一文を例に挙げると
さて、殺してしまえば、その次の仕事がある。じっくりと死体の処理を考えた。
軽い。落ち着いている。人を殺しておいて「さて、」というのはいかがなものか。
「さて、次は何を飲もうか」とかそういうノリの「さて」だ。
比較用に、手元にあった黒猫・黄金虫 (新潮文庫) 佐々木直次郎訳の同じ箇所を引用する。
この恐ろしい殺人をやってしまうと、私はすぐに、きわめて慎重に、死体を隠す仕事に取りかかった。
さっきは無かった、恐れ、焦り、緊張、それらを内包しつつの表面上の平静? みたいなのが読み取れる気がするような。
さて、違いを挙げてはみたものの、考察はできない。
原文にあたる気はないし、ポーの作家性も知らないので、好みだけ述べる。
新訳の方が好きだ。上手く言えないが、過剰にならず落ち着いていて、ある一点に集中して、みたいな語り口が独特の味で好印象な感じ?だった。
ただ、あとがきの最後を「にゃおん」で締めるのはどうかと思った。萌えキャラ?